Memo
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ギャッ!
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セシ春書こうとしてプリ春総括みたいになったのでこちらに投稿です。香水コラボの話。
遠くて近いあの頃へ
「あった、あったよ!」
「うわ~全員分ある! 良かった~!」
弾けるような笑い声と一緒に小さな歓声が耳に届いた。話していた内容から、その子達が何を見つけたのかはすぐに分かった。
視線を向けると制服を着て手を繋いだ女の子達が囁き合っているのが見える。彼女たちの前にあるのは予想通り、香水の特設コーナーだった。そこに飾られているのは本当に小さな瓶で、パッケージで微笑んでいるのは今や知らない人がいないほどのアイドル達だった。
女の子達は一本、一本丁寧に香水を手に取ると、一瞬だけ動きを止めて祈るようにそれを見つめた。良かったね、かっこいいねと呟いているのが微かに聞こえてくる。彼女達はそのままレジに向かっていった。まるで踊るように歩く後ろ姿を、わたしは少し眩しい気持ちで眺めていた。
わたしがあまりにも短い学生時代を過ごしたのも、ちょうどあの子達と同じくらいの時だった。あの時はまだ誰も、何者でもなかった。ただの学生として過ごしていても、必死に何者であろうとしていたんじゃないかなと今なら思う。わたしもいろんなコンプレックスを抱えていたし、それはみんな同じだった。ありえない自体の中で偶然垣間見てしまった数々の傷と想いは、当時のわたしの心を大きく揺さぶった。
瞬く間に過ぎ去った日々を思い返しながら、売り場の瓶を手に取る。わたしが使うには少し可愛らしすぎるそれは、手の中で小さく煌めいた。対象年齢を少し上にする案もありました、と企画ついて聞いた時に彼が言っていたことを今更のように思い出した。もうサンプルは家にあったけれどわたしはレジに並んでいた。少し拍子抜けするほど安い値段は、きっと誰でも手が届く。一緒に歩いてくれた数え切れないほど多くの彼女達にも、存在を当たり前のように知ってくれている制服姿の彼女達にも。
早足で家に戻ってから、手首にそっと香りを広げた。むせ返りそうなほど甘い、優しい香りはやっぱり今のわたしには少し可愛らし過ぎる。目を閉じるともっと香りが強まって、目蓋の裏にはたくさんの情景が浮かんだ。ただ一生懸命に音楽と恋を掴もうともがいていたあの頃――今へと続く道を走り始めたわたし達を忘れない為に、そしてこれからも道を歩み続ける多くの人達に寄り添う為に、きっとこの香りはあるのだろう。畳む
遠くて近いあの頃へ
「あった、あったよ!」
「うわ~全員分ある! 良かった~!」
弾けるような笑い声と一緒に小さな歓声が耳に届いた。話していた内容から、その子達が何を見つけたのかはすぐに分かった。
視線を向けると制服を着て手を繋いだ女の子達が囁き合っているのが見える。彼女たちの前にあるのは予想通り、香水の特設コーナーだった。そこに飾られているのは本当に小さな瓶で、パッケージで微笑んでいるのは今や知らない人がいないほどのアイドル達だった。
女の子達は一本、一本丁寧に香水を手に取ると、一瞬だけ動きを止めて祈るようにそれを見つめた。良かったね、かっこいいねと呟いているのが微かに聞こえてくる。彼女達はそのままレジに向かっていった。まるで踊るように歩く後ろ姿を、わたしは少し眩しい気持ちで眺めていた。
わたしがあまりにも短い学生時代を過ごしたのも、ちょうどあの子達と同じくらいの時だった。あの時はまだ誰も、何者でもなかった。ただの学生として過ごしていても、必死に何者であろうとしていたんじゃないかなと今なら思う。わたしもいろんなコンプレックスを抱えていたし、それはみんな同じだった。ありえない自体の中で偶然垣間見てしまった数々の傷と想いは、当時のわたしの心を大きく揺さぶった。
瞬く間に過ぎ去った日々を思い返しながら、売り場の瓶を手に取る。わたしが使うには少し可愛らしすぎるそれは、手の中で小さく煌めいた。対象年齢を少し上にする案もありました、と企画ついて聞いた時に彼が言っていたことを今更のように思い出した。もうサンプルは家にあったけれどわたしはレジに並んでいた。少し拍子抜けするほど安い値段は、きっと誰でも手が届く。一緒に歩いてくれた数え切れないほど多くの彼女達にも、存在を当たり前のように知ってくれている制服姿の彼女達にも。
早足で家に戻ってから、手首にそっと香りを広げた。むせ返りそうなほど甘い、優しい香りはやっぱり今のわたしには少し可愛らし過ぎる。目を閉じるともっと香りが強まって、目蓋の裏にはたくさんの情景が浮かんだ。ただ一生懸命に音楽と恋を掴もうともがいていたあの頃――今へと続く道を走り始めたわたし達を忘れない為に、そしてこれからも道を歩み続ける多くの人達に寄り添う為に、きっとこの香りはあるのだろう。畳む
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