不死身の血族+αでよく分からなかったこと

こんにちは。先日ルパン三世の新作映画である「不死身の血族」及び、その前日譚である「銭形と二人のルパン」を見ました。
小池監督のルパン含め、現状のルパンアニメ作品には一部TVSP等を除きほぼ全部目を通しているのですが、私の理解力が及ばなかった点が多く、あとモヤ……とする点も結構あったので気持ちの整理の為に書きます。

ですので、肯定的な感想ではないです。個人的に赤ジャケットの扱いにはかなり腹に据えかねるなとも思っています。過去の小池監督作品も含めてネタバレバリバリします。
以上をご了承の方のみ先を読み進めてください。お気持ちするぞ!

不死身の血族について

これまでの傾向から言って、複製人間の前日譚なことは分かっていました。
でも複製人間と素直に繋げるには矛盾が多いことと、作劇がかなり分かりづらく今誰が何故何をしているのかが本当に分からなくて劇場で大混乱しました。
以下劇場で見ている間で分からなかったところと気になったところを箇条書きで書いていきます。

疑問点

ヤエル奥崎の依頼主は国ではなかったの?

血族の冒頭でルパンがこれまでのあらすじを話してくれるのですが、これまで小池監督作品のルパンで出てきた敵が全て同じ相手から差し向けられたもの的なことを話していてのっけから大混乱しました。

墓標見る限りヤエル奥崎の依頼主は全く関係なかったと思うんですが……。マモーを一回挟んでヤエル奥崎に依頼したんですか?そんな描写あった?

なんでルパンはマグマに落ちて死んでないの?

ルパンが迷妄して火山から流れたマグマに落ちるシーン。その後平然と液体の中を泳いで生存してたんですけど、マグマに落ちたなら何故生きてるのか分からなかったです。

後から冷静になって考えるとあの液体は火山から流れ出たものも全て敵の血液だったので、マグマでなく落ちても無事だったということなんでしょうけど、火山が大動脈の入り口、つまりそこから流れ出ている液体はマグマではない=落ちても死なないに映画の時間だけでは私は思い至ることが出来なくて混乱しました。

なんでゾンビ達は不二子ちゃん脱がせて焼こうとしてたの?

これは本当に何故? ヤエル奥崎がおびき寄せる為みたいなことを言っていましたけど、あのゾンビ達に明確に彼が指示出ししてた訳でもないですし、なんなんでしょうか。
お色気シーンに理由を聞くだけ野暮ですけども。

マモーはルパンを見てクローン技術の可能性に気づいたとか言ったけど、108代目をオリジナルとして保存したという本家マモーの設定と矛盾してない?

これは本当に分からないです。この時のマモーはまだクローン技術の限界を感じてなかったのでしょうか。人類史の最初からいるなら血族辺りでもう100代は越えててもおかしくないと思うんですけど。
マモーの本来の寿命が何歳なのか知りませんが、この時はまだ脳みそはあんな大きくなかったってことなんですか?

敵が炎に焼かれても自動復活してたけどマモーより不死身能力高くない?

複製人間の印象的なシーンの一つに、ルパンが跳ね返したビームで焼かれたマモーのシーンがありますね。あのマモーは普通に炎に焼かれて死んでいましたけど、今回の敵はガソリンかけて燃やされても自動復活してましたね。
不死身の理由はクラゲとは言われてましたが、クラゲも炎に焼かれたら自動でその個体が復活するんでしょうか。そんないちゃもんは置いておいても、複製人間のクローン技術より明らかにこっちの方が不死に近いと思うのですが、その辺マモーはどう考えているのか分からなくて混乱しました。

マモーの血液に生命を進化させる効果とかあったっけ?

私が描写を見逃してるのかもしれないですけど、これまでの疑問点が多くて、反射でこの描写にも困惑しました。

マモーと話してた多数のモブは何?

財閥とは字幕に書いてありましたけど、ハワードロックウッドの配下の人間にしては態度が大きいし、不死身の研究についても把握しているようでしたけど、本当に誰なんですか彼らは。

ルパンが急に物の大切さとそれに込められた思い出について説教し出すの何?

物を盗むことを生業にしている人間がそれを語るな~!と思いました。
宝の本来の持ち主にだって、むしろ本来の持ち主こそそういう感覚を持っていると思うのですが、ルパンがその辺を丸々放置して自分の盗みを棚に上げて喋るので困惑しました。

回想長くないですか?

小池監督ルパン作品を見ていない一般層へのアプローチなのは分かります。
本編に出てきてない峰嘘の敵の回想とか、血族で悲しいくらいまでの咬ませになったホークとかの回想も結構な尺で語られるので、普通にテンポ悪いし今何しているシーンだったか分からなくなって混乱します。

気になった点

血族の敵のボス、次元と不二子ちゃんに虫以下とか男をだまし過ぎとか言っていましたね。
あれどういう意図で制作陣が入れたのか分からなくて混乱しました。Twitterでクイズとかにしているくらいですから、ギャグシーンとして入れたのか?と思ったのですがビックリするくらい面白くないです。

今更不二子ちゃんに男をだまし過ぎと正面から指摘するのがユーモアと思っているのはだいぶ感覚が古いなと思いますし、私が見た回の劇場もシラーッとしてました。
次元に関してはそんなこと言う必要性が本当に分からなくて困惑しました。L峰の不二子ちゃんへの痰壺発言とかでも思ったんですけど、自分が生み出した訳でもないキャラをむやみに罵倒することが面白いと思っているならやめた方がいいと思います。L峰は脚本の人違いますが、公式の提言として書いておきます。

銭形と二人のルパンについて

これも尺が短かったからなのか、私の理解力が足りないせいなのか、よく分からないシーンが多かったです。

疑問点

あれが爆発したら100キロ吹っ飛ぶぞってルパンが言ったのに10mくらいしか吹っ飛んでないのは何故?

人間爆弾のシーンですね。これは本当に分からないです。ルパンが目測を誤ったのか、100キロは重さを指しているのか、とも考えたんですが分からない。
単純に脚本のチェックミスかとも思ったんですが、台詞のほぼ直後の爆発で矛盾させているのは流石にないと思うので、きっと意味があるはずなんですが私の理解力が追い付いていません。

何故協力して偽ルパンの爆弾を爆発させたのにもう一回普通に爆発するのか?

クライマックスのシーンですね。これも分からないです。偽ルパンから爆弾を引き抜いて、銭形とルパンの連携プレーで爆発させましたね。ここまでは大丈夫です。そこから急に偽ルパンが爆発したのは何だったんでしょうか? さっきまでの連携プレーの意味は? 本当に分からなくて何か見逃したかと思いました。

女警察が改心した経緯と突然のグータッチに困惑

これは単純に尺の問題だと思いますので簡単に。敵として出てきていた女警察、急に銭形に心を開いたように見えたんですが、何故だったんでしょうか? 銭形にかばわれたから? ルパンを殺すために動いてたけど結局テロが起きたから? 後者の理由だとすれば銭形に心を開いた理由は何?
この辺の経緯が見ていて全然分からなかったので、最後に突然二人でグータッチされても何?としか思わなかったです。

どの国が……何……?

すみません。これは単純に私の理解力の問題です。今どっちの国の話してどっちが何してるのか全然分かりませんでした。架空の国だからかなとも思うのですが、墓標の時は混乱しなかったんですよね。何故なんでしょうか。

偽ルパンが急に英語で自己紹介始めたのは何故?

さっきまで日本語で話していたし、ルパンも日本語でお前は誰だって言ってたと思うんですけど、なんで応答が英語なんでしょうか。かっこいいと思っているんでしょうか。ビックリしました。

二作品を通じて気になる点と2nd好きの憂鬱

個人的にすごく気になる点があって、過去作品への悪意がすごいなと感じました。
それは血族で出てきたサリファ達の声の中にクラリス役である島本さんが混じっていた辺りでぼんやりと感じていたのですが、その後銭形と二人のルパンを見て本格的に嫌だなと思いました。

偽ルパンの着ているジャケットの色は赤色でした。

まあそれだけでも正直ギョッとしたのですが、捨て置けないのは複製人間のルパンのジャケットも赤色なことです。小池監督ルパンシリーズが複製人間の前日譚としたら、複製人間本編のルパンも偽物と言いたいのでしょうか? これは考え過ぎとしても、そう解釈できる可能性を生み出しただけでも個人的にはかなり許せないです。

そもそも赤ジャケットは原作もそうですけど、2ndシリーズのルパンを象徴する色でもあります。
過去のルパンが着ていたジャケットを、あんな外道行為を繰り返す偽物に着せるのは個人的に耐えがたい侮辱だと感じました。
思い返せば、宮崎駿も2ndシリーズ嫌いを公言して憚らない監督であり、最終話ではこれまでのルパン一味が偽物だったという都市伝説まで生まれるようなシナリオを書いています。
作者色が強いルパンを作る人たちは一回赤ジャケットを雑に扱わないといけないノルマでもあるんですかね。

私は2ndシリーズルパンの軽妙洒脱で軽やかで暗くなり過ぎないけど甘すぎることもあまりない、そんな絶妙なバランスが好きで、個人的には一番好きだと思っています。
2ndシリーズ風だけグッズ絵の新規書き下ろしもなく、映像作品も展開がない、そんな状態を黙ってみていましたが、なんで令和の今になってこんな風に公式から描かれなきゃいけないのか本当に分からないです。本当に腸が煮えくり返っています。なんで。どうして。

以上です。
長々とすみません。墓標は本当に面白く、新たなルパンの歴史が始まったと当時は期待していたので、こんな気持ちで小池監督のルパンが終わりを迎えてしまったのが残念でなりません。
でも本当に赤ジャケットルパンへのリスペクトを公式は取り戻した方がいいと思います。切実に。

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